2009年4月17日金曜日

奥の細道

17日の朝早くに王寺町の友人宅をお暇し、一路国道25号を東へ向かいました。
せっかくなので名古屋から岐阜に北上し、かねてからの夢であった岐阜散策を楽しもうとひたすら東へと進んでいました。
国道25号の伊賀サービスエリアで売店の裏手に回って伊賀の田園風景を見ながら休憩を取っていると、なにやら下の方からシュレーゲルアオガエルの鳴き声が聞こえてくるではありませんか!
これは早速録音しなくては!と喜び勇んで伊賀ICから下道に下りて先ほどカエルの鳴き声が聞こえたと思しきあたりにバイクを進めると、なんとも情緒あふれるこぢんまりとした水田にたどり着きました。
バイクを道端に停めて器材を取り出し、きれいに下草が刈り取られた田んぼ横のあぜ道を進むとトラクターにのったおじいさんが。
お邪魔でなければ、とお伺いした所「好い~音を録っていってください~。」と快諾してくださり、しばらくこの田んぼの周りでカエルの鳴き声や水の流れる環境音を録音したり、
わずか数メートルの短いあぜ道に、これでもか!とあふれる豊かな植生に富んだ草花の撮影を楽しんでいた所、

ふと時間を確認するとあっという間に2時間ほどが経過しており、「このまま岐阜まで行っても、歩き回る時間はなくなってしまうな」と急遽予定を変更。
ガソリンスタンドでホームセンターの場所を教えてもらうと、野宿に必要な最低限の装備(というと大げさだけど)を買出しに出かけました。
そのときに田んぼのおじいさんに伺えば良かったのですが、このあぜ道、本当に色々な草花に埋め尽くされているのです。これって自生しているものを適度に手入れしているだけなのでしょうか?
それともあぜ道をきれいにする為に意図的に植えている物なのでしょうか?
一瞥するとただのあぜ道。
カメラを担いで寝転がって見ると、今まで想像もしたことがないほど様々な植物で満ちていました。僕が知らないところでも、常に世界は100%の完成度なんですね、当たり前ですが。


JR柘植駅の観光案内板で、軽く情報収集をしたところ、野宿に適していそうなスポットと、その周辺の情報が分かりました。
早速林道をバイクでゆっくり進んで奥余野森林公園に。
ここにバイクを停めると、しばらく周囲の散策を楽しみました。


柘植駅前の案内板でこのあたりの登山道、ハイキングコースとそのおよその所要時間をデジカメに撮影してあったので、「今からだったら三国岳からゾロゾロ峠を回ってこれるな。」と考え、万が一に備えて飲み水、チョコレート、懐中電灯を腰にぶら下げると、器材を担いで伊賀の山へと分け入りました。
結構あちらこちらの林道を歩いたりしていますが、三国岳周辺は案内板にも「アップダウンのあるスリリングな山歩きが楽しめます」とか確かに書いてありましたが、ちょっとびっくりするくらいハードな山歩きになりました。
スリリング、っていうか、素人の僕は簡単に滑落→遭難に陥りそうな難所が目白押し。
器材を担いできたことを後悔しつつ、流木で杖を2本作って自分を鼓舞しながらひたすら頂を目指します。
ちなみにこの写真の滝は三馬の谷にあった、確か水竜の滝。高低差は15mくらいだったでしょうか、基本的にこんな感じの滑りやすい滝の横をロープや梯子を使ってひたすら登るという有様で、人気が全くないこともあり、ちょっとばかり真剣になってしまいました。
ひたすら渓流脇の山道を登ったり下ったり、しがみついたり滑ったりすること訳4時間。
とうとう他のハイカーに会う事もなく、奥余野公園に戻るとぼちぼち野宿の準備を始めたのは夕方の6時前頃でした。
野宿といっても僕が家から持参したのは寝袋のみ。先ほどホームセンターで伊賀町指定ゴミ袋30ℓ10枚入りとガムテープを買ったので、それらを工夫して快適な野宿スポットを作ります。
寝床を確保しても、まだ周囲は明るかったので、しばらく山の草木の写真を撮る等してあたりが暗くなってくるまで時間をつぶしました。
桜の木、このあたりは標高350メートルほどだったと思いますが、山の冷気のせいか、まだまだ花が残っていて大変に綺麗でした。
僕は植物には全然詳しくないのでアレなんですが、花弁や花びらの色や形、枝ぶりなど、ここでも非常に色々な種類の桜が生えていて、草木の彩りに多様性を求めるのが三重や奈良の人々の感性なのか、それともこの土壌がその感性を作ったのか、などと取り留めのないことをぼんやりと考えながら、次第に周囲が暗くなるさまを楽しみました。
そしてこの下の写真が”快適な野宿”を僕に約束してくれる、モンベル・クラブの会員がみたら失神しそうなお手製テント寝袋(0.5人用)。
野宿でしんどいのは寒さと蚊。
この対策だけしてあれば、なんとかなるものなので、テント部分は寝袋の上半身にしか掛かっていません。
入り口を開けると下の写真のようになります。結構快適そうでしょ?

さらに、下の写真はテント内部からのもの。
すごく快適そうでしょ?
設営時間約15分。お値段は200円くらいナリ。
夜中にカジカガエルの観察ができないかなぁ?と思いつつも、あいにくの降雨。
どのみち夕方の7時過ぎから朝の5時半まで爆睡しちゃったのですが。
もっとも、カジカガエルの習性、よく調べていないのでこの時期に観察できたかどうかも定かではありません。
朝もやに包まれた伊賀の里、心に残る風景でした。

2009年4月16日木曜日

多くを聞いて広くを見る。

20代の頃、パリのノートルダム大聖堂にノエルのミサを観に行きましたが、その巨大建造物に「すげぇわ~」とただ見上げるばかり。
なんだかゴシックな柱に灯してあるろうそくの周りをコウモリが飛んじゃったりしていて、筆舌に尽くしがたい緊張感が堂内に張り詰める、というかのしかかると言うか。
無神論者の自分の心のなかに、理屈で説明できない畏怖の念が込み上げてくるのを苦々しいやらほっとするやら受け入れたりして。
「いや~、キリスト教すげ~わ」と。
でも、20数年ぶりに東大寺の南大門見たら、「日本もすげ~!」と、”彼らの聖母”以来、心の片隅にあった、これまた理屈にならないコンプレックスの様なものが吹き飛びました。
なんつーか、空間も時間もでか過ぎて写真撮る気も吹っ飛びました。そんなわけで、東大寺、殆ど写真撮ってません。

脇侍のこのお二方も精緻な造形が素晴らしいのですが、個人的にはやはり南大門の左右で睨みを効かせる阿形・吽形像の造形がなんとも荒々しくて惚れ惚れしてしまいます。
網越しに見るしか術が無いので視力の乏しい僕には物足りないのですが、仕方が無いですね。年に3日程度で良いので、そして柵を設けて近寄れなくするなどの措置をとった上で良いので、金網越しでなく、一度でよいので直接見てみたい、と切に感じました。
東大寺はどちらかと言うと非常に落ち着いた、モノトーンの様な色彩だったのに対して、春日大社は明るい緑に囲まれた朱色の建物がなんとも雅な雰囲気でした。
いや、ほんと修学旅行で来た事あるのかね?俺。
法隆寺の回廊の記憶は卒業アルバムの写真の記憶と共に一気によみがえりましたが、春日大社、全く思い出せません。僕の当時の好奇心は一体どこに向かっていたのでしょうか?
パンチドランカーの様なキラッキラした黒々とした鹿の瞳にカメラを構える僕の姿がはっきりと映りこんでいます。
鹿、よくよく見ると巨大なねずみのようにも見えてきて、それほど愛らしい生き物でもないような気がしてきちゃいました。

2009年4月15日水曜日

斑鳩町

法隆寺がとても一日で回ることができず、翌日早起きしてバイクで再び斑鳩町に足を運んだのですが、バイクを停めても問題がなさそうな場所を探しつつ法隆寺の裏手へ回ってみると、のどかな斑鳩の田園風景が広がっていました。
関東の山々は針葉樹の植林が多く、山の色は暗緑色に塗りつぶされていることが多いのですが、奈良の山々は植生のバリエーションが多く、淡い緑を中心に見ていて飽きの来ない豊かな色彩に満ちています。そんな景色を眺めながら溜池の多くのどかな田園地帯をバイクで走っていると、斑鳩神社、法輪寺、法起寺などでは重文クラスの薬師如来像などがとりたてて何を主張するわけでもなくそれぞれの本堂に鎮座したりしておりました。
あまり教養の無い僕は、その1400年以上もの長い間、大切に残されてきたという事実に単純に「はぁ~。」と感嘆のため息を漏らすばかり。
神社の片隅の手洗い所の朝顔トイレのシンプルな機能美に改めて感動してみたり、
幹全体が苔生した、最優秀助演賞をあげたくなるような桜の樹を見て、はたしてこれは桜をみているのか、それとも苔を見ているのかと不思議な気分に浸ったりしていました。
どうにも奈良はスケールが大きすぎです。時間も空間も。
ほんの数日の滞在では手も足も出なさそうです…。

2009年4月14日火曜日

五重塔の格子は…!

法隆寺に行ってきました。
用賀の東京ICから東名高速に乗ったのが朝6時。追々休憩を取りながら豊田JCで伊勢湾岸道路に乗り換え、関ICで降りるつもりがちょっと道に迷ったりしつつ国道25号線で奈良は王寺町の友人宅に到着したのが午後の4時。
かなり休憩をしっかり取りながら行ったので、なんやかんやで10時間の小旅行でした。
その晩は友人のお母さんのおいしい手料理で体力を回復し、翌日から地元の交通機関で三晩ほど奈良の斑鳩周辺をぶらぶらしてきました。
奈良に来たのは中学校の修学旅行以来なので実に23年振り。
法隆寺を眼前にしても「あれ?俺、本当にこんなところ来た事あったっけな?まったく見覚えが無い…。」と思いつつ、当時の学年主任の先生に「鹿にまたがったりしないように、○○くん!」と名指しで注意されたことがあったので、法隆寺はともかく少なくとも東大寺には行ってるはずなんだよな…、と。
ですが、法隆寺の中門をくぐって廻廊に入ると一気に当時の記憶が蘇りました。
伽藍を隅々まで歩き回り、金堂、五重塔、大講堂と何度も見てまわっているとあっと言う間に数時間が経ってしまい、この日はこれでタイムアップ。(上の写真は夢殿の伽藍ですが…。)
そんなわけで翌日も朝一でバイクに乗って再び法隆寺に足を運びました。
初日は雨が降っていたため、ここで使っている写真は全て二日目に撮ったものです。
あちらこちらの門の鬼瓦、獅子、蓮の葉、菊、桃などバラエティーに富んでいて、適当に見ているだけでも飽きがきません。
青く晴れ渡った広い空を背景に乾いて黒光りする瓦屋根を見ていると、何故か夏の予感が胸に閃きました。

2009年4月8日水曜日

桜亀

ようやく満開ですね、桜。
井の頭公園では亀が花見をしていました。