2009年11月20日金曜日

空中散歩

ひーこら言いながらばさばさ藪を漕いだり、緊張と恐怖で奥歯をかみ締めながら急峻な崖をよじ登ったりするのも大好きなんだけど、たまにはお金を払って誰かにどこかへ連れて行ってもらおうなどと考えてみた。
当たり前だけど、25USD位をはらってあとはのんびりしてるだけ。何もしなくても気球はすごいスピードでぐんぐんあがってゆきます。

これまた当たり前だけど、気球は地上にウインチで繋がれています。25USD程度では僕に何の自由があるはずも無く。
生殺しだよなぁ~。


2009年11月4日水曜日

紅葉狩りのはずが…。

失恋した友人が「山にでも登りたい」と言うので馬鹿正直に手近でかつそれなりに達成感のありそうな物件を調べてみたところ、奥多摩に手ごろな山を発見。時期も時期だし、一応数日かけて情報収集をして準備をしていたのですが、いざ前日になると件の友人から「疲れていると足元危ないですし…。」などとのたまうメールを着信。
「お前はいったい何を言っているんだ?」のミルコ画像が一瞬脳裏によぎるも、「一人の方が気楽だし。」と本末転倒ではあるけれど、すばやく合理的な結論に短絡すると3時間ほどの睡眠の後、中央線、下りの始発に乗り込むと一路奥多摩を目指しました。
奥多摩駅で四半刻ほどの待ち時間の後、西東京バスに乗り込み多摩川沿い、そしてやがては奥多摩湖沿いのワインディングを揺られること35分。7時10分に鴨沢にある雲取山の登山口に到着です。
本日のターゲットは標高2017m、11:30までに目処が立たなければ頂上は諦めて帰投することに決めてぼちぼちと歩き始めます。
色づき始めた山肌に朝日が当たるともやが立ち上り、つられて僕も気分が高揚してくるのを感じます。
針葉樹と広葉樹の間を縫う登山道をひた歩き、少しずつ高度を稼いでゆくと山陰側の斜面が次第に紅く色づき始めます。
2時間も登るといつの間にか登山道や日陰の斜面は雪に覆われ、赤やオレンジに色づいた広葉樹の鮮やかな色合い、朝靄とそれらに乱反射する陽光と相まって幻想的な景色を生み出していました。
前日の11月2日は都内では激しい雨が降ったのですが、急激に低下した気温のせいで、ここ奥多摩の山々にはそれは雪となって降りしきったようです。
雪とモミジ。
子供の頃に見た記憶が頭の片隅にありますが、はたしてそれは何時のことだったのか、何処で目にした景色なのか思い出すことが出来ません。
3時間程歩いた所でお湯を沸かせ、砂糖をたっぷり入れた紅茶で小休止。
地図を広げて現在位置の確認をすると、それほど悪いペースでもありません。
体が冷える前に荷物をまとめると再び頂上目指して歩き始めます。
稜線に出ると、それまで木々の梢越しに見えていた富士山の全貌が見渡せるようになりました。時折その斜面が陽光を浴びて白く硬く輝き、「アレを登るのは大変だなぁ…。」とやがては挑戦したい冬の富士登山で対面するであろう困難にいささか不安を覚えるものの、幸い今の自分の足元の雪はクラストもしておらず、そして何より気温は低いもののほぼ無風と言っても良い状態で、このままのペースで行けば無理なく日帰りのペースで頂上までたどり着きそうです。
ふもとではまだ緑色だった木々も、高度を上げるにつれて黄色・オレンジ・紅とその装いを変えてきましたが、稜線上に出るまでに、一部の針葉樹を残してその葉はすっかりと落ちてしまい、針金の様な細い枝々がむき出しになっています。
そして頂から百数メートルほどの範囲に生えた木々の枝には真っ白な雪が降りかかっており、久しぶりに目にするこの光景に、懐かしいと言うよりも新鮮な感動が沸き起こってきました。
紅葉狩りに来たつもりの雲取山でしたが、その頂上はちょっとした雪山になっていて、本体よりも豪華なオマケがくっついてきたような嬉しい散歩となりました。