2010年5月6日木曜日

3777m!?

去年の暮れからずーっと狙っていた富士山、気圧配置を観察していたのですがGW中の5月2日、3日と列島全体が高気圧に覆われ「これなら俺でもいけるかも!」と言う状態に。2号天気図用紙でも低気圧が枠内に殆ど無い!
日曜の朝は普通に稽古して夕方から荷造り開始。
1時間ほど仮眠を取って朝5時にバイクにまたがり一路富士山を目指して家を出ました。
GW真っ只中なので、どうせ渋滞につかまって富士宮口に到着するのは昼過ぎだろう、なんて思っていたのですが…。

なんと2時間30分ほどで到着してしまいました。 (あ、ぜんぜん飛ばしてないですよ。僕は視力が悪いのでちょー安全運転です。)
新六合まで荷物を揚げて幕営準備。
それほど風は強くないけどちょっとペグの効きが甘い感じがしたので、石を雪に埋め込みペグダウン。のんびり作業したにも関わらず8時には作業が完了してしまいました。
時間は充分あるけれど、2400mまで一気に上がってしまった上に昨日は1時間しか寝ていません。今日は無理をしないで2600m付近で昼寝と散歩で時間を潰して高度順化をすることにしました。
12時までテントの中でウトウトしてから、一度新五合目の食堂まで降りてしょうが焼き丼を食べ、駐車場に停めたバイクにデポしてあった2ℓの水分を荷揚げします。雪は十分にあるので水は幾らでも作れるのですが、時間があったものですから…。
テントに戻ると今度はのんびりと宝永山と火口に向かって散歩をしました。
このあたりはすでに標高2600mオーバーで、冬に登った金峰山よりも高いんですよね…。
14時40分ころから高度2000mあたりに発生した層雲が見る見るうちに斜面を駆け上がり、2300m辺りにある樹林帯の木々が一本々々と白いもやに絡め取られていく様子を感動しながら観察しました。
層雲は瞬く間に6合目近辺まで駆け上がり、ふと空を見上げるとさっきまで群青色だった空にもうっすらと 巻雲が出ているようです。
体が湿るのを避けてテントに戻りながら「明日の行動は3時までには終了だなぁ。」と漠然と考えながら日没までテントのなかでゴロゴロ、ウトウト。
6時に食事を済ませて一眠りしてからテントの外を覗くと駿河の夜景が広がっていました。
風もそれほどではなく気温も2度ほど。
すっかり安心して再びシュラフにもぐりこみ、ぐっすり眠りにつきました。
翌朝4時に目を覚まし、紅茶と菓子パン、ドライフルーツで手早く朝食を済ませます。
荷造りをしてからテントの中を軽く片付け 地図を眺めてルートの再確認。
5時にうす曇の新六合・富士宮登山口を登り始めました。
六合目を過ぎたあたりからはほぼ完全な雪景色。一歩々々、ゆっくり呼吸を確かめながらひたすら上を目指します。
七合目を過ぎ八合目のあたりから斜度がちょっときつくなり、雪質が斜面によって多様に変化するようになり、アイゼンが良く効きそうなルートを見極めるために度々足を止めて斜面を観察しながら進みます。
九合目あたりまでは3時間ほどで順調に高度を稼ぐことができました。
九合目を過ぎると、斜度も益々厳しくなり、加えてガチガチの氷、足を乗せると雪崩れそうな腐れ雪、アイゼンは良く効くけど風が吹いたら一発で持ってゆかれそうなクラストが複雑に入り混じった斜面に少々苦労します。
あんまり歩きやすそうな所ばかりを追っていたら、九合五尺の後半で結構厄介な氷の壁に突っ込んでしまいました。
カメラを取り出し写真を撮って気持ちを落ち着けると、四つん這いになってアックスのブレードと石突を効かせながら右へ、右へと慎重にトラバース。落ちたら止まらないという緊張感からアドレナリンが分泌され、今回最もややこしい局面は体力的にはずいぶん楽にこなすことができました。
「ここ、無事に降りれるかな…。」と若干不安を覚えながら11時過ぎに火口まであがると、日本最高峰の剣ケ峰まであとちょっと!
200m下の火口に転がり落ちないように気をつけながら一歩々々ドーム跡を目指して歩を進め、11時26分、積雪のお陰で3777mくらいに割り増しされた日本最高峰の頂を踏みました。
山頂で30分ほど休憩&お食事タイム。
下山のルート、特に九合目までのすこし厄介そうな部分を頭の中で整理して、体が冷える前に頂を後にしました。
九合五尺、九合目までは丁寧に、丁寧に歩いて下ると後は一気にシリセード!
岩や氷、風に雪が吹き飛ばされてむき出しになった地面を器用に避けながら、六合五尺あたりまで滑り降ります。
登りに6時間以上掛かった富士山も下りはたったの2時間半。
新六合目のテントに戻るとすぐにテントを撤収し、一路バイクで岐路につきました。
…。
…。
翌日起きたら顔の日焼けが酷く、頬や鼻の頭からなにやら汁がしたたっております。
夜、道場でかるーくスパーをしていたら、相手の道衣がサクッと鼻をかすっただけで、鼻の頭の皮膚、全部持ってゆかれました…。