2009年7月26日日曜日

猫嵐

おお!久しぶりのズズネタですか!?
いえ、違うんです。リオのハウスにここ数日、黒猫が出没するようになりまして、特に何をしてやった訳ではないのですが、えらく懐かれてしまっています。
朝の6時過ぎになるとハウスの周りで僕が起きてくるのを待っていて(?)、その後2時間ばかり遊ぶのに付き合わされたり、毛並みを整えさせられたり。
僕がPC叩いている間は、僕の素足に寄りかかって毛づくろいなどしているのです。
おそらく以前のこのハウスの住人のペットか、近隣の飼い猫ではないかと思っていますが、黒猫は本当におおらかで人懐っこいですね。

また、ハウス周辺を縄張りとする 別の猫もおりまして、コイツは数日前に庭を闊歩しているのを目撃したときはカメラを向ける前に走り去ってしまうほど用心深い猫で、今朝は僕の足元で黒猫が遊んでいたのを「おめぇ、人様の縄張りでケツモチ頼んでいい度胸じゃねーか。」って感じで遠巻きにじっとこちらを眺めておりました。
バッハ地区は直ぐ裏手にはティジュカ・フォーレストなどと呼ばれる広大な森林地帯が迫っており 、食事に出かける10分程度の散歩でも運がよければ多様な生き物を目にすることが出来ます。
先日は電話線の上に3匹の小型の猿がいたのですが、カメラを持っておらず写真を撮れずじまい。
それ以来、片時もカメラを手放さないように心がけていますが、治安との兼ね合いもあってそれも結構難しいものがあったり...。
なんて、ブログを更新しているさなかに件の黒猫が戻ってきて、おなかの上で喉を鳴らしています...。

2009年7月11日土曜日

Pedra da Gávea

リオ・デ・ジャネイロのバッハ・エリアにペドラ・ダ・ガヴェアと呼ばれる山があります。

この山はリオの柔術家にとってはちょっとした聖地でありまして、なんでもグレイシー・トレーニングだかのビデオにはこの山を駆け巡り、よじ登る一族の映像が見られるとかなんとか。
僕も今回、リオに来る前にジョンに「俺が若い頃はゴルド達と一緒にペドラ・ダ・ガヴェアに週に二回、登りに行ったもんだよ。お前もゴルドのアカデミーに行くならペドラ・ダ・ガヴェアに登ることになるだろうな。信じられないようなすばらしい景色の山だぞ。」と言われていたので結構楽しみにしていたのですが、現在のゴルドのアカデミーでは、みんなで一緒に駆け登る、というようなトレーニングは行われていないらしく、有志が各々、頂上までではなく見晴らしの良い中間地点まで、もしくは程よいところまで登っては引き返す、といった感じで行われているようでした。
そこで、同宿のカナダ人、ジェイと一緒に、とりあえず登ってみようか、という話になり先日巡礼に繰り出しました。
山のふもとは鬱蒼としたジャングルのような雰囲気で、一応トレイルがあるために明るいうちであれば道に迷うといったような心配はなさそうな雰囲気です。
オランウータンあたりがかじりついていそうな巨大な果実が巨木に絡み付いていたり、昆虫とも鳥ともちょっと判断しかねるさまざまな鳴き声、羽音に森中が満たされていて、”ブラジル”と言う言葉から僕がすぐに連想するようなマナウス、アマゾン流域のいわゆる熱帯のジャングルとは雰囲気が違うのだろうけど、それでも今まで体験したことのあるいかなる森林とも異なる雰囲気を十分に楽しみながら、ひたすら山道を登って行く訳です。
確かに部分々々、それなりに階段状に土留めがしてあったりもするのですが、基本的にかなり「自己責任でどうぞ」的な道のりになっておりまして、「ああ、日本だったら”危険につき立ち入り禁止”ってなってるな。」なんて思いながら、時折先頭を交代しながら頂を目指してしがみついたりよじ登ったり。
リオに来てからしばらく天気に恵まれず、毎日降雨があったのですが、この3日ほど晴天に恵まれ、おかげで足元は適度に乾燥しているのが救いです。
登り始めて2時間半くらいで木々に覆われた比較的緩やかなセクション(それでも結構ハードでしたが…。)は終わりを告げ、いよいよ”Pedra”に取り付くわけです。
ところが、このペドラ、勾配が半端ではない!
下から見上げると垂直に見え、実際のところは精々60度~80度位なのでしょうが、素人の僕にしてみると「これ、登りはいいけど、降りられなくなるんじゃないの?」と深刻な恐怖を覚えるほど。
前日にペドラ・ダ・ガヴェアの話をしていた地元のブラジル人が「あそこ、上のほうでは結構沢山死んでるから気をつけてね。」と微笑みながらも真剣なまなざしで言っていたのがこの時になって頭の中で何度も反芻されました。
「これはちょっとばかり本気にならないと死んじゃうな。」と覚悟を決め、ジェイと二人で何度もルートを検討し、荷物のハーネスが予想外のところに引っかかったりしないようにお互いにチェック。
20分ほど休息をとって、いよいよペドラに取り付きました。
写真で見ると、岩場を這っている様に見えますが、かなり命懸けです。
風が無いのが幸いで、強風だったらとても怖くて登れません。
"Jay, if I found you falling down, I wouldn't help you, sorry."
"It's all right. Save yourself."
ホールドに溜まった小石や砂を、帰りの為に払い落としながら、慎重に慎重に登って行きます。
フリー・クライミングの経験者なら、きっとなんてことの無い壁なのでしょうが、何せ二人とも唯の素人です。
恐怖と緊張で心をすり減らしながらも壁を登りきって崖沿いの幅40cm程の小道を歩き、とうとう無事に山頂に到着です。
かなたにコルコバードの丘のキリスト像が見えます。
山頂に到着したのが4:40PM頃。
「果たして無事、降りられるのだろうか?」と考えつつ軽く食事をして体力を回復させます。
"Ok, I'm ready to die."
"Is it common way to say in Japanese?"
"I don't know man, it is just how I feel right now."
最大の難所と思われた岩壁も、無事に通過。
暗闇の中の下山は不可能なので、明るいうちにとひたすら山を駆け下ります。
途中で息を呑むような夕日に目を奪われるも、のんびり日没を楽しむ時間的な余裕はありません。
途中でストイックな雰囲気の登山者とすれ違い、会話もそこそこに歩き続けます。
あっという間に暗くなり、木々の向こうにリオの夜景が広がり始めます。
そうです…。
遭難しました。完全に。
この暗さではもはやトレイルをたどることは不可能です。
ジェイと二人でぽつんと体育座りで月明かりを待ちます。
ちなみにブラジルは今、真冬です。
リオは赤道直下ではないので夜の冷え込みはかなりの物です。
「これは結構厳しいことになるかなぁ。」と思いつつ、体温が下がらないようにあらゆる工夫をしながら2時間ほど夜空を眺めていると、運が良いことに山頂付近ですれ違ったドイツ人登山者が、懐中電灯で足元を照らしながら下山してくるではないですか!
後はストイックな彼の気分を害さないように気をつけながら、ジェイと二人で彼に続いて真っ暗な山道を下ること約2時間。
二人とも無事ハウスにたどり着きました。
なんとなく頭の中に「遭難するかも。」と言う考えは最初からあったので、一晩山で過ごすのも悪くないな、とも思っていましたが、無事というのが何よりですね。
真っ暗な山中でちょっと面白いものも見つけることが出来ました。
写真に捕らえることが諸事情から出来なかったので、こんど機会を見つけて写真を撮りに行こうかと思っています。

2009年7月3日金曜日

恐怖の報酬2

昨日、無事にリオに到着です。
アトランタの空港では、チェックインの際に「このビザ、期限切れてるわよ。」と。
おい、またかよ、と思いながら「ロスでもまったく同じ会話したんだよね。」と、時間があったので余裕を持って対応。10分位足止めされたけど、もちろんokが出て、無事搭乗。
若干フライトに遅れが出て、かつ荷物がなかなか出てこなかったため、待ち合わせのドライバーと落ち合えなかったり、何やかんやありましたが、リオは天国でした。

現ゴルドー・コヘアの生徒でジョン・マチャドのアカデミーでは僕の兄弟子にあたるデニスがアレンジしてくれた宿泊などはまさに完璧の上を行くレベルのもので、日の良くあたる広大な庭をもつ”ハウス”の清潔な一室をあてがわれ、シャワー、ランドリー、キッチンx2、冷蔵庫x2、WiFiと生活に必要なものがここには何でもそろっています。
その上、チェックインのときに部屋に通され、日が降り注ぐベッドの上に、きれいなバスタオルと石鹸、そして新品のギがおいてあるのに気づいたときには言葉に表せない感謝と喜びの気持ちが沸き起こりました。

かなり無理なスケジュールでデニスに今回のステイをアレンジしてもらったため、7日からは部屋を出て、共有スペースで寝ることになっているのですが、基本的に野宿のときはテントすら持ち歩かない僕からすると、このハウスの中はどこも快適さで満ちていて何の不満もありません。
朝8:00に歩いて1分のゴルドーのアカデミーに行き、昼前まで練習。戻ってランドリーをしながら、レストランで格安のブラジル料理を頬張り、昼寝をし再び夜18:00、20:00と練習をし、夜は同じく柔術の修行に各国からハウスに来ている連中と雑談し就寝。
柔術家にとって、これ以上の贅沢と言うものを考えることが出来ません。
恐怖の報酬は、僕にとってはこの上ないモノでした。

2009年7月2日木曜日

オーパ!オーパ!

世界最大の河川、アマゾン河。
いまだに人間の支配が及ばない、最後の秘境の一つではないでしょうか。

アマゾンというと、真っ先に僕の頭に浮かぶのはさまざまな色彩のカエル。

アマゾンと言えば、ピラーニャ。
強靭な顎で、フィッシングナイフに歯形を付けるという河のギャング。
アマゾンと言えば、淡水魚最大の大きさに成長すると言うキャット・フィッシュ。巨大な口で何でも飲み込む掃除機のような輩です。
アマゾンと言えばタラバガニ。英語ではKing Crabと呼ばれるまさにカニの王様です…。
え?アマゾンにタラバガニ?
あ、すいません、これらの写真はアマゾン河で撮影したものではなく、遠くアマゾンに思いを馳せながら、ジョージア州はアトランタ、アトランタ水族館で撮影したものです。
だって、結局新たにアレンジされた乗り継ぎ便の時間が夜の9:35発ですよ?
それまでホテルに篭っているのももったいないじゃないですか。
幸い空港から市営のトラムが出ているので、ホテルのシャトルバスと併用して、ちょっと時間をつぶしがてら、アトランタ観光をしてきました。
正直言って、アトランタ、カメラを持ってきたことをしこたま後悔するような雰囲気たっぷりの街でした。きれいなところはきれいなんですけど、トラムの出口から出て、警官に道を聞いたらど~ゆ~訳か、かなりとんでもないところに行ってしまいまして、僕も齢35にして昼真からこんなところで何しているんですか?と言われたら胸をはって何かを言える様なモノでもないのですが、そんな意味ではそれこそ僕をもうちょっと経済的に追い詰めて、かつ肉体的に大いにビルドアップしたような方々が、じっと僕のカメラといでたちを見比べて、明らかに何か頭の中で高速で損得勘定をしているような…。
全米で1・2を争う凶悪事件の発生率を誇る都市なんですよね、アトランタ。
単に休暇を利用して公園の脇などで日光浴をしていただけなのかもしれませんし、僕の自意識過剰ですね、きっと。
で、そんなアトランタなのですが、全米を代表するさまざまな企業がその本社を置いていることでも有名らしいです。
そこで、日本一のコーラー消費量を誇る僕として、きっと二度とこないだろうからとコーラ・ミュージアムにも行ってきました。
正直なところ、相当楽しかったです。
入り口を入るとすぐにスタッフのオネーさんがにこやかにコカ・コーラの歴史などを説明してくれて、質問コーナーなんかもあるんです。
「ではコカ・コーラ社が二番目に発売した飲料、分かる方いますか~?」みたいなかんじで。
で、コーラ・フリークを自称する方々が我先にと手を上げて、
「はい、ではそちらのブルーのシャツのご婦人、どうぞ~。」
「ペプシ!」
とか。
でも、こう言った答えを受け流すのが、ものすごく上手なんですよ、さすがに。
かなり楽しんでしまいました。
で、そのあとHappy Factoryとか、そんな名前のショート・ムービーを見たら、あとはフリーツアー。
僕は律儀にボトリング・セクションとかで、どのように瓶詰めしているのかとかを見て回りましたが、8割がた、試飲コーナーに直行してましたね…。
でも、試飲コーナー、ミュージアムを名乗る割にはそれほど充実しているとも思わなかったのですが、「まったく知らない!」って飲料がいろいろあって、これまた楽しかったです。
試飲コーナーに群がる子供の行動観察していると、コップに注いでは飲まずに捨てちゃったりとか、「あれ?この子は自分でやってることの意味、分かってるのかな?」と言うような子も何人かいたりして。
でも、やっぱり本家コーラが一番おいしかったです。