2009年6月30日火曜日

恐怖の報酬

昨日、ロスでの最後の晩に見た映画、RED SUNに出演していたのはイブ・モンタンではなくアラン・ドロンだったのですが。
学生でごった返すLAXで、間に合わないのではないかとやきもきしながら搭乗時間のぎりぎり前でチェック・イン。カウンターのお姉さんが僕のビザを「これ、期限切れているから。ブラジル入国できないから。」と訳の分からない指摘をしてきて、僕が「いや、これは発給の90日以内にブラジルに入国可能で、その後30日有効のビザだから。」と言っても「いや、ビザの期限が30日で、発給されたのが4月の末だからもう失効しているから。」と。
もちろん日本で南米旅行の代理業を専門とする方に相談してとったビザなので、そんな訳無いのですが、時間的にも切羽詰ってて、そのうえ「ちょっと確認してくるわ。」とどこかへ消えて戻ってきたら「間違いない。失効してる。二人に確認したけど二人とも失効と言っている。」と言うのです。
これから手荷物検査でまた長い列に並ばなければいけないこともあり、時間が無駄に出来ないのでビザの各項目を指差しながら説明し、「これは日本のブラジル大使館のオフィサーが言ってた事だよ。」と申し添えると、「もう一度確認させてくれ。」と。
で、戻ってきたら何のことは無い、「うん、これでブラジル入れるから。」と微笑んじゃったりしてるんです。いちいちイラつく若さも無いので素直に「あ~良かった。」と思っていたら、「ごめんね、私の経験不足だったわ。」とか可愛い言葉が飛び出してちょっとびっくり。ああ、いい旅になりそうだな、と思ったのが甘かったです。

食事をするまもなく飛行機に乗り込み、すぐに飛行機はタキシング開始。
滑走路で姿勢を整えると、おなじみの"All crews, prepare for departure."とキャプテンのアナウンスが。
すぐにジェットの振動と騒音が沸き起こり、飛行機がものすごい勢いで加速していきます。
あと少しで両翼に機体全体を支えるだけの揚力が発生するな、と体をリラックスさせたまさにそのときでした。
「あれ!?」
ジェットの振動とは明らかに違う、リズムから外れた軽い振動があったと思ったら、機体が大きく右方向に傾き始めたのです。
経験から体が勝手に予想をし、全身の筋肉が無意識のうちに通常の離陸に備えてバランスをとろうとしている中、その体の動きを裏切るようにあらぬ方向に自分が投げ出されつつある、と言う恐怖。
突如、ジェットは猛烈な逆噴射を始め、キャプテンがタイヤそのものにもブレーキを掛けたらしく、ものすごいスキール音が機内に響き渡ります。
でも、車どころか、それこそジェット機は急には止まれません。

隣の黒人のお姉さんが窓枠に両手でしがみつく様を「ああ、こりゃ逝くかもな。」と考えながら眺めつつ、機首が何かに衝突し、機体の前方からものすごい勢いで炎に包まれることを想像し、「シートベルト締めていたらエビもうてないな。」と思いバックルに手を掛けながら、その瞬間を今か、今かと待ち続けました。
時間にしてせいぜい10秒程でしょうか。機体は滑走路の中心を大きく外れながらも、特に何に衝突することも無く無事静止しました。

キャプテンからお詫びのアナウンスが入り、タイヤのパンク、破片がジェットに吸い込まれた可能性がある旨が知らされました。30分ほど機内で待機した後、別の機体に乗り換えることになり一度ゲートまでもとりました。
もともとアトランタの乗り継ぎは時間がタイトだったので「ああ、これは無理だなぁ。」と思いながらコネクションのアレンジをするためにエージェントの列に並んで待つこと4時間!どうしてこんなに時間がかかるんだろう?と思いながら、どうにか手続きを済ませてLAXを飛び立つことが出来たのはなんと夕方の6時前でした。
アトランタに到着したのは現地時間の25時過ぎ。当然コネクションなどありません。
ふたたびエージェントの列に並んでホテルの手配、食事の補償となるバウチャーなどを入手し空港を出てホテルへのシャトルバスを待ちました。
30分ほど待っても来ないのでホテルに電話してシャトルが運行中かを確認すると「はい、運行中です。もうすこし待ってみてください。」と。
内心「いや、でもWestinとかはもう3回も来てるし…。」と思いつつも、偶然に翻弄されるのも良いか、などと考えベンチに座ること約1時間。いい加減腹も減ったのでホテルに電話すると、今度は受話器をとってくれない!
どうしようかなぁ、と考えあぐねていると"Gen!"と僕の名を大声で呼ぶ声が!?
「あ、ホテルの人かな?」とのんきなことを考えてそっちを見てみたら、なんとジョンの生徒の巨漢青年ではないですか。聞いてみたら、「アトランタで仕事して休暇とって遊んでた。」とのこと。しかもよくよく聞いてみたら僕と同じ航空会社で、二日連続で機体トラブルでアトランタで足止め食らっていると。
どんな偶然なんでしょうか。世界が狭いにも程があります。

その後もホテルについて、鍵をもらって部屋に入ったら誰かがすでに中で寝ていたり、歩いてマクドナルドのドライブスルーに行ったら「車じゃないと売れない。」と追い払われたり、仕方が無くガソリンスタンドでナチョ・チーズとタコスを買ったらナチョ切れててスズメの涙ほどしか出てこなかったり。

いまどきシドニー・シェルダンだって一日にこんなにイベント盛りこまねーよ!ってくらい色々なことがありました。
なんだか運が良いのか悪いのか、きちんと埋め合わせされてんだかどうなのかさっぱり分からない一日でした。

※写真は実際にトラブルがあったキャリアとは無関係です。

2009年6月15日月曜日

Lapin de Cologne

一週間前ごろからケルンに来ています。
つい先日「東大寺すげ~!」ってなっていた僕ですが、やっぱり欧州も凄いですね。地震大国の日本ではありえない建造物ですね。
朝の7時ごろに町中に鐘の音が鳴り響きます。

ドイツ人は僕の目で見たところ偏執的で几帳面。
合理的で几帳面な日本人とはその几帳面さの方向が大分違うようです。
でも、そんなドイツ人らしい几帳面さが工業デザインなどの分野で独特の魅力を生み出してきていると思います。
個人的には几帳面ではないけど合理的な米国の方が性に合っているので僕はあまり几帳面な方では無いようです。
町中のいたるところで日本では見かけない花々が植えられていて、特にライン川沿いの歩道などは川面に反射した光が木漏れ日と相まって、独特の色彩を生み出しています。

地下鉄で少し郊外に出るといたるところにちょっとした森があり、ウサギが草を食んでいます。
森は手入れが行き届き、下草が刈られて適度に間引きされている為、光が良く入り明るく透明な木漏れ日を楽しむことが出来ました。

2009年6月10日水曜日

LAX>AMS>CGN

ロスから飛行機で約10時間。
ドイツのケルンに向かうためアムステルダムで乗継です。
何でもEU最大のハブ空港とかで、つくりはシンプルですが、乗り継ぎのためにかなりの距離を歩きます。

乗り継ぎの待ち時間が4時間以上もあったため、初めての空港でしたがのんびりした気持ちで空港内のお店を見て回ったり。
"You do judo, right?"
"Yes."
"I can tell it!"
とイミグレもほぼフリーパス。耳が沸いていると便利なものです。正確には柔道ではなくて柔術ですが。そして柔道をやるからと言って訪欧目的すら聞かれずにEU入り出来てしまうのもどうかと思いますが。
空港内のフードコートもかなり欧州風。普段ならバーガーキングに行きかねない僕ですが、せっかくなのでサンドイッチとチキンスープを。

ケルンについて、荷物を解き終えると既に7時を優に回っていましたが、日はまだ高く散歩にはうってつけの雰囲気だったので、カメラ諸々かついでライン川を渡り大聖堂の周辺をぶらぶら歩き回ってきました。
せっかくなので何かドイツ風の食べ物を、と考えた末、思わず暖簾をくぐったのは何故かドネル・ケバブのお店。
蓮向かいのマクドナルドに吸い込まれなかっただけでも僕にしては上出来でしょう。